『薬屋のひとりごと』には、なぜか2種類の漫画版がある──。
同じ物語を描いているはずなのに、巻数も進み方も違うこの2作品に、「結局どっちを読めばいいの?」と迷う人も少なくありません。
本記事では、「どっちが進んでる?」という率直な疑問に答えるとともに、それぞれの漫画版の進行度や魅力、読む際の注意点まで、丁寧に解説していきます。
あなたの“薬屋時間”がもっと深く、もっと楽しくなるように──そんな願いを込めて綴ります。
- 『薬屋のひとりごと』には2種類の漫画版が存在する理由
- サンデーGX版とビッグガンガン版、それぞれの進行度と最新刊情報
- 「どっちが進んでる?」に対する明確な答え
- ストーリー展開・作画・演出の違いと読者へのおすすめポイント
- どちらを選べばいいのか迷っている人への参考になる比較解説
『薬屋のひとりごと』漫画は2種類ある
サンデーGX版(小学館)とビッグガンガン版(スクエニ)
まず大前提として、『薬屋のひとりごと』には2種類の漫画版が存在します。
それぞれ連載しているのは、以下の出版社です。
- サンデーGX版(小学館):作画は倉田三ノ路さん
- ビッグガンガン版(スクウェア・エニックス):作画はねこクラゲさん
どちらも日向夏先生の同じ原作小説をもとにしたコミカライズですが、作風・演出・テンポ・視点が大きく異なっています。
そのため、「まったく別の読後感」を味わえるのもこの作品の面白さのひとつです。
なぜ2社から同時に連載?その背景とは
このように、同一原作で別々の出版社が漫画化を行うのは決して一般的ではありません。
ですが『薬屋のひとりごと』では、原作権が「複数のメディア展開可能」な契約形態だったため、同時展開が実現しました。
結果として、それぞれの漫画版が違う魅力を持ちながらも、同じ物語を“別の視点”で楽しませてくれています。
同じ登場人物、同じ事件なのに、読後に感じる余韻がまるで違う──。
そんな体験ができるのは、この2作ならではの醍醐味です。
どっちが進んでる?最新刊と話数を比較
サンデーGX版の進行状況と最新巻
2025年5月現在、もっとも進んでいるのはサンデーGX版(小学館)です。
こちらは第19巻まで刊行されており、連載話数は100話を超えています。
ストーリーは後宮の内外にとどまらず、猫猫の過去や壬氏との関係性が深まるフェーズに突入。
軍事・政争といった大きな渦にも巻き込まれ始めており、原作の後半に差し掛かりつつある印象です。
ビッグガンガン版の進行状況と最新巻
一方、ビッグガンガン版(スクウェア・エニックス)は、第15巻まで刊行中。
物語としては、アニメ第1期の終盤を越えたあたりで、猫猫と壬氏の距離感がじわじわと変化し始めているところです。
話数にして70話前後。
ストーリーはじっくりと進みながらも、キャラクターの心の動きに焦点を当てた描写が豊富なのが特徴です。
進み方に差が出る理由とは
この「どっちが進んでる?」という違いの理由は、演出のスタンスと連載ペースにあります。
サンデーGX版は、ストーリーの推進力を優先して描かれており、テンポよく事件が進展します。
そのぶん展開は早く、「原作を追いたい」人にはぴったりです。
ビッグガンガン版は、感情描写や空気感に比重を置いており、1話ごとの余韻を大切にしています。
そのため進行はややゆっくりですが、キャラの内面をじっくり感じたい人にはこちらが合うかもしれません。
描き方の違いから見える“2つの薬屋”
作画・演出の雰囲気を比較
『薬屋のひとりごと』の2つの漫画版は、同じ物語をなぞりながらも、まったく異なる「空気」をまとっています。
サンデーGX版は、重厚なタッチと緊張感ある構図が魅力。
陰影の効いた作画で、政治や権力の暗部を描く場面にもリアリティがあります。
事件の重さ、人間関係の圧力、後宮のきらびやかさの裏にある“毒”──
そうしたテーマに惹かれる人には非常に刺さるはずです。
一方、ビッグガンガン版は、柔らかく繊細な描線と、優しい色使いが特徴的。
表情や仕草が豊かで、猫猫のちょっとした顔の動き、壬氏の目の色の揺らぎまで感じ取れます。
雰囲気としては“静かに沁みる人間劇”。読後に、心がふっとあたたかくなるような余韻があります。
キャラ描写や間の取り方に注目
描き方の違いは、登場人物たちの印象にも大きく影響します。
たとえば壬氏というキャラクター。
サンデーGX版では“端正で影のあるエリート”として描かれ、どこか近寄りがたい存在。
その一方で、ビッグガンガン版では「感情の揺れ」を細やかに描かれ、人間味が強く感じられる描写になっています。
同じ人物なのに、“視線”によって受け取る印象が違う──。
これこそが2つの薬屋を読む面白さであり、「どっちが正解か」ではなく、「どっちの視点に惹かれるか」という問いに変わっていくのです。
どっちを読めばいい?選び方ガイド
ストーリー重視派におすすめなのは?
「とにかく早く物語の続きを知りたい」「原作小説の展開をいち早く追いたい」──
そんなストーリー推進派のあなたにおすすめなのは、サンデーGX版です。
展開が早く、事件がテンポよく進行する構成なので、“先を追いかける”感覚を得やすいのが特徴。
政治の駆け引きや軍事的な動きが絡んできても、説明が丁寧なので安心して読めます。
少しずつ明かされる猫猫の過去や、壬氏との関係性の変化も見どころです。
ビジュアル派・感情描写派へのベストチョイス
一方で、「物語よりも人物の心の動きや、感情の描写をじっくり味わいたい」という方には、ビッグガンガン版をおすすめします。
柔らかな作画で描かれる日常のやり取りや、猫猫の“表に出さない優しさ”がにじむ場面の数々。
特に壬氏の描写は、どのページを切り取っても美しく、読み進めるたびに新しい解釈が生まれるような深みがあります。
感情に寄り添う漫画を読みたいなら、こちらが間違いありません。
どちらにも明確な魅力があり、優劣はつけられません。
だからこそ、“自分がどんな読書体験を求めているのか”を一度考えてみてください。
そして、もし迷うなら……どちらも読んでみるという選択も、きっと後悔のない答えになるはずです。
まとめ:2つの視点で楽しむ『薬屋のひとりごと』
『薬屋のひとりごと』には、サンデーGX版とビッグガンガン版という2つの漫画版が存在します。
どちらも同じ原作をなぞっているのに、まるで違う世界に触れているような感覚を味わえる──それがこの作品の特別な魅力です。
「どっちが進んでる?」という問いには、現時点ではサンデーGX版が先行しているという答えが出ます。
しかし、進み方や深まり方が違うからこそ、“どちらを読むか”が大切になるのです。
重厚なストーリーを追いたい人。
キャラの繊細な感情に触れたい人。
そのどちらにも『薬屋のひとりごと』は応えてくれる。
そしてきっと──
2つの視点を行き来するうちに、あなた自身の“好き”の輪郭が見えてくるはずです。
この記事のまとめ
- 『薬屋のひとりごと』漫画は2種類存在する
- 進んでいるのはサンデーGX版(2025年現在で19巻)
- ビッグガンガン版は15巻まで、描写が丁寧で感情重視
- 両者は作画・演出が異なり、異なる読後感を味わえる
- 好みによって選ぶべき漫画版が変わる